前回は教わったことを受け取る前に、
自分が出すぎてしまう話を書きました。
今回はその逆の話です。
何かを学び始めると、
それまで知らなかった言葉や表現、ものの見方に出会います。
自分ではうまく説明できなかったことが、
新しい言葉を知ることで説明できるようになる。
見えていなかったものが見えるようになり、
曖昧だった感覚が整理されることもあります。
誰かの言葉や視点を借りることは、
学ぶ上で必要なことだと思います。
ただ、学べば学ぶほど、
その人自身の感覚や視点、言葉が見えにくくなっていくことがあります。
何を見ても学んだ理論や覚えた説明で捉えようとする。
目の前で起きていることよりも、
すでに知っている説明に当てはめることが先になってしまう。
最初はその視点で見えるものが増えたはずなのに、
いつの間にか当てはまるものばかりを見るようになっている。
借りた言葉でしか物事を見られなくなることがあります。
自分が出すぎて教わったことが入ってこない。
借りた視点が強すぎて自分の感覚が見えなくなる。
方向は逆ですが、
どちらも目の前で起きていることから少し離れてしまう点は同じです。
これは僕が施術をしているときにも気をつけていることです。
目の前の人に触れているときは、
学んだことをいったん脇に置いておきます。
学んだことを実行しようとするあまり、
目の前の人が見えなくなってしまうことがあるからです。
優先したいのは、
その人を見ることです。
今、この人を見ているだろうか。
そう確かめるようにしています。
